dark_kontenten’s diary

kontenten in dark side.

技術って・・・

大学を卒業して3年間・・・家業の仕事の習得のために
私は、浜松にある80人規模の金型屋で修行しました。
その金型屋さんは、自動車部品、特にエンジン関係の
カバー類を製造する金型を作っていました。
古くは、プリンス自動車の日本初ダイキャスティング
より製作されたトランスミッションケースに始まります。

入社して数年後、或るFF車ばかり作っている自動車
メーカーから、ニューコンセプトの車が出るそうで・・・
この会社から新製品の図面が送られてきました。
ご存知の通り、普通FF車と云うのは前輪の上にエンジンを
載せた車種が殆どで、エンジンを前後車輪軸の真ん中
すなわち、FFミッドシップ用のミッションケースの金型を
製作する事になりました。

トランスミッションケースとは、文字通り・・・エンジンから
車軸の間にあるギヤ列をカバーするケースの事です。
通常FFのトランスミッションケースの高さは15cmくらい
今度のFFミッドシップ用は35cmくらいに高くなっています。
そして、FF用のケースの肉厚は4.5mm・・・ただ何故か
倍以上背の高いFFミッドシップ用も肉厚4.5mm
些かの不安を持ちながら・・・まっ、我々金型屋はお客様の
ご希望通りの製品が出来る金型が出来ればOKって・・・

そして、型完後・・・試作(Try)後・・・金型が修正で帰って来ました。
一般的に金型は、金型設計図面の通りに作り、試作した後
細かい修正作業に入ります。
例えば、締結ボルトの位置がずれたから長穴に変えようとか
組立ミスをなくすために、逆組防止の穴を作ろうとか・・・

ところが、この時の大設計変更は・・・肉厚
4.5mmを6.0mmにサイズUP
ダイキャスティング用の金型は、機械加工後・・・焼き入れをします
硬い硬い鋼を削らねばなりません(今は工具が良いので可能です)。
高さが倍以上にUPしたのに厚さを変えないのは、ヤッパリ
設計者の常識不足・・・こんな会社の作った車は恐くて乗れません。
(個人の感想です。)

この記事を書くに当たり、当時の事をネットで調べましたら
この車のエンジン、トルコンケース、ミッションケース共に
コンピュータにより応力解析されているそうです(w)

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