dark_kontenten’s diary

kontenten in dark side.

何でも出来るって云うけど・・・

今から30年くらい前に、金型製造業界で或る噂がありました。
自動的に金型を造ってしまう『キャド・キャム』と云う設備が
世の中に存在するが価格が億単位、ただ万能でないので導入した
数社が過剰設備のため、廃業?倒産?してしまった・・・。
こんな話を大学生の頃、金型屋の親父から聞いた事がありました。

キャド・キャムとは、ご存知の方も多いかと思いますが
CAD(computer aided design)電子計算機による設計支援装置
CAM(computer aided manufacturing)電子計算機による製造支援装置
名前だけ見たら、すべて全自動で出来そうに思われがちですが・・・

CAD、特に当時の2次元CADはドラフターで描いていた図面を
コンピュータのディスプレイ上で作図して、プリントアウト
簡単に云えば、手書きワープロに替えた程度・・・そして
3次元のCADに至っても、任意の形状をコンピュータ内で
現すだけで、実際にモノとして出力出来るモノではありません。

そして、CAMと云えば・・・CADで表現した任意の形状を
数値制御式の工作機械を動かすプログラム(命令)を作るだけ
実際加工するのは工作機械で、工作機械も万能ではありません。

その数値制御式(NC)工作機械も、職人の親父には万能な機械と
勘違いをして導入してしまったようです。
当時のkontenten興業には、数学に強い学卒の社員はいません。
社員の中で比較的若い人が数値制御式のフライスの担当を
する事になったのですが・・・ネックはプログラム(命令)
当時自動プロ(簡易式のCAM)で作成するのですが、2次元
そんな時、親父が私に相談してきたのは・・・
『この機械は3次元加工は出来ないのか?』なんです。
3次元加工をするためには、3次元自動プロが必須なんですが
この工作機械を売った商社は、そんな事は言いません。

今の3次元CADの如くマウスで形状定義が出来れば良いですが
当時は、或る規則に沿って定義された数式を並べて作った
プログラムを計算させて制御装置のプログラムを作ります。
その数式が最低三角関数を使わねば出来ない作業なので
数学が苦手な人間には至難の業・・・結局、若手の社員は
その苦痛に耐えきれず、依願退職をしてしまいました。

当時から、売る側は『何でも出来ます』って云いますが
やっぱり、あくまでもセールストークに思われます。
実際は、面倒な前工程が有るのを黙って売りつけたようです。

そう云えば、最近3D(3次元)プリンターと云うモノが
世の中で持て囃されているようですが・・・如何なんですかね?
何だか、詳しく紐解いた事が無いので不案内ですが・・・
どうも、決まった形状の加工データは付属していますが
任意の形状を製作するにはCADやCAMが必要なのでは・・・

まっ、ワープロソフトとプリンター
プリンターだけでは文字も書けない
3Dプリンターも同じような気がしてなりません。
皆さんも、早合点して銭失いになりませんように・・・(^^)。

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ちなみに、現在のkontenten興業は・・・
浜松の金型会社でマシニングセンター(工具交換式のNCフライス)の
使い方を習得し、黎明期よりCAD/CAMを使っていた課長について
計算(NCプログラミング)を習いました。
ちなみに、その課長こそ・・・我が師匠、kontenten興業の部長です。
なので、仕事さえ有れば・・・CAD/CAM&MC大活躍なのですが(w)